ユダヤ人ってイスラエル人の事を指す言葉の様に使われますが、実はユダヤ人とイスラエル人ってイコールじゃないって知っていますか?
イスラエル人は、日本人という単語の様に基本的にイスラエルで生まれた人・イスラエル人の親を持つ人を指しますが、ユダヤ人って人種を指す言葉じゃないんですよね。
なので、イスラエル人だからと言って全員がユダヤ人ってわけじゃないんですよ。日本人もアメリカ人も、何人であっても定義上はユダヤ人になれるんです。
ユダヤ人の定義は?
ユダヤ人は英語でJew / Jews ・Jewish<(名詞)ジュウ / ジュウズ・(形容詞)ジューイッシュ>と言い、ユダヤ人という人種があるわけでなく、ユダヤ教の信者の事を指します。
ユダヤ人の定義は、ユダヤ教を信仰している事、ユダヤ人の母親から生まれた子などがあります。なので、父親がユダヤ人でも母親がユダヤ人じゃない場合は、当然ユダヤ人にはならないんです。
また、正式な手続きを経て改宗した人も、ユダヤ人と定義されます。
イスラエルの帰還法(חֹוק הַשְׁבוּת/イスラエル以外に住むユダヤ人に国籍を与える法律・ユダヤ人のための移民政策)でも、改宗者もしくは母親がユダヤ人であることと規定されています。
なので、イスラエル人でもユダヤ教を信仰していない人は定義上「イスラエル人」となりますが、イスラエル人のほとんどはユダヤ人の両親を持っているので定義上ユダヤ人にもなりますね。
なぜ父親がユダヤ人でも子供はユダヤ人にならない?
仮に父親がユダヤ人で、母親がユダヤ人でない場合、子供はユダヤ人と認められないんです。なぜでしょう?遺伝子的なものでしょうか?
これは、「子供の父親が誰かというのは、正確には母親本人しか分からない」からと言われています。そうですね。女性の場合であればお腹が大きくなるので、他人から見ても本当に血の繋がりがあると見て取れますが、父親の場合は証拠がないですよね。
ただし最近ではDNAテストで血の繋がりが分かるので、父親の場合も認められてもよさそうなんですけどね。
○○系ユダヤ人
ユダヤ人と一言で言っても、古代から世界各地に散らばった宗教的民族なので、色々な○○系ユダヤ人がいます。
- 東欧系ユダヤ人(アシュケナジム)・・・ドイツ語圏や東欧諸国に定住したユダヤ人
- スペイン系ユダヤ人(セファルディム)・・・主にスペインやイタリア、ポルトガル、トルコなどの南欧諸国に15世紀前後に定住したユダヤ人
- 主に中東・カフカス以東に住むユダヤ人(ミズラヒム)
上の3つが有名な○○系ユダヤ人ですが、当然アメリカ系、インド系など多くあります。
世界に溢れるユダヤ系アメリカ人の名前で有名なユダヤ系アメリカ人を特集しているので、こちらも読んでみて下さい。
改宗者はユダヤ人になれる
ユダヤ人の定義で「ユダヤ教を信仰している事」がありますが、では改宗者全員が全員ユダヤ人かというとそうでもないようなんですね。
というのもユダヤ教には正統派・保守派・改革派など色々な宗派がありますが、正統派ユダヤ教以外のユダヤ教に改宗した場合は基本的にユダヤ人と認められないんです。
だって正統派じゃないから。
これって暗に、「正統派以外はユダヤ教じゃない」ってイスラエルが言っているようなものですよね。政治でも同じですが、派閥があるともめ事が絶えないですね。
ユダヤ人以外に帰還法の適用
2011年6月10日に、同性愛者の結婚しているカップルがイスラエルに移民として移住する申請をしました。ただしこのカップルは一人がユダヤ人男性、もう一人はカトリック(キリスト教)の男性です。
イスラエル国外で結婚した同性カップルの帰還法の申請だったので、大きくニュースになりましたね。
ユダヤ人の男性はすぐに市民権を得たのですが、カトリック男性はユダヤ人じゃなかったのでちょっと時間がかかったんですね。政府内でかなり話し合われたんだと思います。
結果は、2か月後の8月10日に配偶者男性も帰還法により市民権を得たんです。革新的な判断でした。
海外で結婚し、同性婚、カトリック教徒とそもそもユダヤ人でないのに、ユダヤ人のための帰還法が適用されたんです。
2014年にはイスラエルの内務大臣が、「帰還法の定義で、海外で同性婚した人でパートナーがユダヤ人でなくても、イスラエルの市民権を取得できる」と発表しました。
ちなみにユダヤ教の定義上、カトリック教徒の配偶者はユダヤ人とは定義されないです。
イスラエルは血統主義
イスラエルでは日本と同様に、父親か母親のどちらかがイスラエル国民であれば子供もイスラエル国民と規定されます(イスラエル国籍が取得できる)。
先ほど述べたように「母親がユダヤ人であれば子供もユダヤ人」となりますが、イスラエル人として定義されるには片方の親がイスラエル人であればよいです。
イスラエルに住むユダヤ人
ユダヤ人は「母親がユダヤ人もしくはユダヤ教を信仰している」事が定義なので、イスラエルにはいろんな人種のユダヤ人がいます。
Wikipedia英語版に「2010年までに帰還法を申請してイスラエルに移住した人とその子供」の国籍・出身地を調べたリストがあったので上位10ヵ国をご紹介します。(3桁切り捨て・↓表はスマホの場合横にスクロールできます)
国籍 | 外国生まれ | イスラエル生まれ | 合計 |
ソ連(ロシア) | 65.1万人 | 24.1万人 | 89.2万人 |
モロッコ | 15.3万人 | 33.9万人 | 49.3万人 |
ルーマニア | 8.8万人 | 12.5万人 | 21.4万人 |
エチオピア | 8.1万人 | 3.8万人 | 11万人 |
イラク | 6.2万人 | 17.3万人 | 23.5万人 |
ポーランド | 5.1万人 | 15.1万人 | 20.2万人 |
イラン/アフガニスタン | 4.9万人 | 9.2万人 | 14.1万人 |
アルジェリア・チュニジア | 4.3万人 | 9.1万人 | 13.4万人 |
フランス | 4.1万人 | 2.6万人 | 6.8万人 |
アルゼンチン | 3.5万人 | 2.6万人 | 6.1万人 |
このほかにも、イエメン、トルコ、ドイツ、イギリス、チェコ、エジプトなど出身者もいました。日本人のユダヤ人もいますね。
これを見て分かるように、イスラエル人・ユダヤ人と言ってもいろんな人種がいるので、見た目では判断できません。
ユダヤ人の服装と特徴を別記事で紹介しているので、あわせて読んでみて下さい。
まとめ
ユダヤ人と一言で言っても、人種も違うし、宗派も違うし、国も違うのでいろいろな人がいますね。古代から世界各地に離散した集団なので、そう考えると納得できますね。
改宗してユダヤ人になった人も多くいるのですが、アメリカ大統領トランプさんの娘・イバンカさんも改宗してユダヤ人になりましたね。古くはマリリンモンローもアーサーミラーとの結婚を機にユダヤ教に改宗したし。
まとめとして、「改宗は大変だが誰でも(?)ユダヤ人になれる」ってことですね。ただし、改宗者の多くは結婚相手がユダヤ人だから改宗した人が多いみたいです。