日本マクドナルド創業者で、日本にハンバーガー文化を根付かせた「銀座のユダヤ人」と呼ばれた藤田田(でん)さんの著書「ユダヤの商法」をご存知ですか?
1972年に刊行された本なのですが、50年近くたっているのも関わらず、物事の本質をとらえていて、私たち日本人の頭に刷り込まれている「常識」を覆してくれる本です。
自営業をされている人は当然、学生から会社勤めの社会人、老後のセカンドライフに何か始めようという人まで、多くの人に参考になる事が書いています。
言われてみたら、ユダヤ人はビジネスが上手いってイメージがありますよね?アインシュタインからグーグルの創業者まで幅広い分野で活躍していますし。
今回は、私の固定概念を壊すくらい印象に残った言葉をご紹介します。
藤田田とは何者?
1926年に生まれ、2004年に他界した藤田田(でん)さん。
東京大学の法学部に在籍中、英語が出来る事を生かして米軍の通訳としてアルバイトを始める。
この米軍内で、上官でもないのにいい車に乗って女性をはべらしている軍人を見つけ、「なぜこの人は低い役職なのに金回りがいいのだろう」と疑問に思い、観察していくうちにある事に気付く。
その男はユダヤ人で、利息を取って同僚にお金を貸している軍人だったと。
以降ユダヤ人たちにビジネスの何たるかを学び、ダイアモンドの販売などを手掛け、のちに「日本マクドナルド」「日本トイザらス」などを創業する。
2003年にマクドナルドの会長を退任したところ、約1年後に生涯を終える。
マクドナルドを始めたのも、「日本人はもっと肉を食べて強くならないと海外に立ち向かえない」という思いがあり、日本を愛していた人だと思います。
「ユダヤの商法」の中には、愛国心を感じられる言葉が所々にあり、<男の中の男>って感じですが、ビジネスに関してはユダヤ人の様に相手に容赦ない感じで取引しています。
ユダヤ商法の法則
ユダヤ人はいろいろな法則を持っていて、それは宇宙の大法則であるので、人間がどうあがいても変えることのできない普遍的なものなんです。
ですので、この法則に則って(のっとって)いれば、損のしようがないというのが、ユダヤ商法です。
こちらの「ユダヤ人はなぜビジネスが上手いのか?」に有名ユダヤ人やユダヤ系企業を詳しく書いていますので、読んでみてください。ユダヤ企業は身近にたくさんあることに気づきますよ。
78対22の法則
この空気中には窒素が78、酸素などが22の割合で存在しています。
また、人間の体も同じように、水分が78、その他の物質が22の割合で出来ています。
この法則と同じように、ユダヤのビジネスも78対22の上に成り立っているんです。
例えば金融業。お金を貸したい人と借りたい人の割合はいくらでしょう?
ユダヤ商法曰く、「お金を貸したい人」78、「お金を借りたい人」22の割合なんです。
そのいい例が銀行ですが、銀行って私たちの預貯金からお金を貸していますよね?
で、もし借りたい人の方が多かったら、銀行は潰れてしまいますよね?
言われてみたら、その通りですね。
また、世界のお金の78%を持っている富裕層を相手にビジネスをしたら、大きな利益を出しやすい等、当たり前の事なんですが、理にかなったビジネスの手法ですね。
ビジネスをするなら女と口を狙え
上の見出しだけ見たら、「何言ってんだ?」って感じがしますが、「女性」と「口」という意味は、「女性は、旦那が稼いできたお金を使う人なのでお金になる」、「口は、口に入れるものを取り扱うビジネス」と言う意味です。
言われて見たらそうですよね。
女性の方は身だしなみを気にする人が多いですし、宝石なんかも見につけたがる人が多いので、ここをターゲットにしたらいいビジネスのなるでしょう。
口に入れるものということで、飲食店やスーパーですが、これは私たち人間が生きる上で絶対に必要なもの「食べ物」を売っているので、ビジネスになりやすいという事ですね。
金持ちから流行させろ
息の長い流行というものは、まずはお金持ちや有名人の間で流行ると、大衆に流行りが伝染するので、長い期間ものを売れると言うものです。ですので、お金持ちをターゲットに、ヒットさせたい商品を売っていく事。
一般大衆からも流行りは生まれるが、長続きしないことが多いみたいですね。
薄利多売はやめて、厚利多売をしろ
この言葉が一番響いたのですが、本当にそうですよね。
薄利多売なんて「いっぱい働いても利益が少ない」って事で、言い換えたら「効率が悪い仕事」ですよね?
お客さんの為に安値でって言う理由があるかもしれませんが、効率がいい方が良いですよね、単純に。
脳みそには柔軟性を持たせるべし
これも凄く大事な事ですね。固定観念にとらわれず柔軟に物事を考える力。
藤田さんはマクドナルドを始める前に、色々な人から「日本人はコメと魚を食べる国民だから、ハンバーガーなんて売れないよ」等と、ネガティブな意見を言われていました。
1971年当時、ハンバーガーは珍しいもので、日本人が食べるものと言う認識ではなかったんです。
それでも本人は「絶対に売れる」という確信があって、マクドナルドを始めました。
この様に、既成概念にとらわれずにやる事って重要ですね。
お金を生むためにお金を使え!
これは私の知り合いのユダヤ人から何度も言われた事なんですが、「お金儲けをするためにお金を使う。お金を生まないのだったら使うな」と。
ちょうど彼に出会ったとき、私はタイでビジネスを始めた時なんですが、必要なモノがアレもコレもと出てきて、出費が止まらなかったんです。
その時彼に相談していたら、「それは本当に必要なの?」「それを買ったらいくら儲けが増えるの?」「その物がお金を生むならどんどんお金を使いなよ」ってことを言われました。
それ以来私は何かを買うときは、お金を儲けるためにお金を使う事を意識しています。
ちなみにこのユダヤ人の友人は、タイで大きなホテルを経営しています。さすがユダヤ人・・・。ビジネスが上手いです。
藤田田伝説
●アメリカの会社から詐欺被害にあった時、当時のアメリカ大統領・ケネディー大統領に直に手紙を書き、問題収拾にあたってもらったりと、規格外な事をやっています。
●マクドナルドという名称は、藤田田さんが決めました。
もともとの英語の発音では 「マクダーナルズ」なのですが、日本人になじみやすい3・3の韻を踏んだ「マクド・ナルド」と、アメリカ本社の反対を押し切ってこの名称にしました。
●ソフトバンクの孫正義さんは高校生の時に、この「ユダヤの商法」を読み、藤田田さんに会いに行ったのですが、この時に藤田さんに「今度アメリカに留学するのですが、なにをすべきか」と質問しました。
藤田田さんは「コンピューター関連」を学ぶように進言しました。
孫さん、今では世界に名だたる経営者になりましたね。
●この当時リヒテンシュタインは、いくら年収があっても税金は年間9万円だったらしく、節税のためリヒテンシュタインの国籍を買おうとした。
●インターナショナルな人間であるためには、外国人に親しみやすい名前をつけるべき、という持論から、二人の息子の名前は「元(ゲン)」と「完(カン)」と名付けた。(ゲン=Gen=General=将軍)(カン=Khan=王様)
●金儲けにイデオロギーはいらない!ということで、政治理念的に支持をしていない共産党の友人に、選挙資金を融通しました。もちろんお金を儲けるために。
●列車内で時の労務大臣と話し、大臣のオフィスに誘われたが、「聞きたいことがあるなら、そっちが来なさい」と言った。
最後に
約50年前に書かれた本ですが、未だに参考になる部分が多いのは、驚きですね。
ユダヤ人が言うように、普遍の定理だから時代が変わろうと、根本は同じなんでしょうね。
ただ、何か所かは違和感を覚えたところもあります。
何と言うか、藤田さんはユダヤの教えに沿ってやっているので、見方によっては「金の亡者」と映る箇所もありました。
でも、ビジネスはきれいごとだけではやっていけないんでしょうね。それも銀座のユダヤ人と呼ばれる所以でしょうね。