ユダヤ教には食事の制限に関する規定があります。
例えば、どうやって処理をされたかを知らないとお肉も食べれないですし、肉製品と乳製品を一緒に食べてはいけない、なんていう規定もあります。
それでは、ユダヤ教の食事事情を紹介します。
カシュルート
<イスラエルの行事・ハヌカー期間に食べるドーナツ(スフガーニーヤー)>
カシュルートとはユダヤ教の食べ物が清いものか、清くないものかの規定(清浄規定)の事で、カシェル(コシェル)とはヘブライ語で「相応しい状態」「適正」を意味し、カシュルートに適合した食べ物の事を指します。
当然、目的や理由があってカシュルートを規定していると思うのですが、なぜなんでしょうね?以下、抜粋したものを紹介します。
ユダヤ法に照らして適合した清浄な食物を明確にし、そのために調理法や、食品ならびに調理用什器の選定と管理に至るまで規範を示し、食物や調理、食事そのものを聖化することである By Wikipedia
食事そのものを神聖化するという考えは、すごいですね。日本人はどちらかというと、おなかを満たすためにだけに食べる感じがしますが。
それでは、カシェル・ユダヤ法に照らして清いものと認定された食事や清い動物というのは何になるのでしょう?
レビ記第11章によれば、食べてもよい動物は以下のようになっています。
- 4つ足の獣で、ひづめが分かれ、はんすう(反芻)をするもの
- 海や川、湖に住み、ヒレとウロコがあるもの(海魚・川魚)
- 飼育されたアヒル、ニワトリ、カモ、キジ、ハト、ガチョウなど
- イナゴやバッタなどの一部の昆虫
注)反芻とは、噛んだものを胃に送り、その後口まで戻してさらに噛む、という食べ方
反芻する動物なんて、どうやって見分けたんでしょうね?かなり詳しく観察しないと分からないですよ。
また、カシェルであったとしても、以下の場合は食すことを禁じています。
- 野外で獣に殺された動物の肉
- 自然に死んだ動物の肉
- 狩人が殺したもの
上2つは衛生上納得ですね。
その他にもこういった規定があります。
- 血を食べることが禁止(ミディアムやレアのステーキはダメ)
- 肉類と乳製品を一緒に食べることは禁止(チーズバーガーはダメ)
- 同種の動物を使った食事も禁止・例)卵と鶏肉・親子丼
ステーキは食べれるが、ウェルダンに焼いてもらわないといけないのは、きついですね。私はミディアム派なので。
ちなみにカシェルの肉はM、乳製品はD、中立なもの(米や小麦粉、砂糖などの肉や乳製品でないもの)はP(Pareve)で表示されることが多いです。
ちなみになぜ肉と乳製品を一緒に食べてはダメだとか、血はダメだとかの詳細は分かりません。
ユダヤ人社会の実情
いろいろと食べていいもの、ダメなものを紹介しましたが、ユダヤ教改革派はカシェルの廃止をしたので、なんでも食べます。
2000年以上伝わっている教えを廃止してもいいんですね・・・。改革派ですもんね。改革しないと・・・。(ちなみにイスラエルでは、正統派以外の公的活動は認められていません)
カシェル食品の見分け方
<Wikipediaより引用>
ヨーロッパではK,U,Vと印が入っていますが、レストランなどに置いてあることが多いそうです。
日本では、Kosher Japan(コーシャ ジャパン)がカシェル食品の認定をしていて、日本にいるラビ(宗教的指導者)が原材料、製造工程の実地検査を行った上で判断しています。
Ok KosherやOU Kosherも認証をしてます。
カシェル食品はユダヤ人のためというのが本来の目的ですが、最近はそれ以上のものになってきています。
アメリカで開かれたコーシャ食品専門見本市「Kosher Fest」によれば、消費者がコーシャ食品を求める理由について、最も高かった回答は「安全・安心のイメージが高いため」で、55%の割合を占めました。
また、「ユダヤ教による食規定に基づいた食品を求めているため」とした回答は8%だったので、ユダヤ人よりも非ユダヤ人が多く買っている感じですね。
コーシャ製品は、第三者であるラビが認証しているため、消費者に安全・安心のイメージを与えているだろうとの事です。
もしくはユダヤ人ってビジネス上手だから、うまい戦略を立ててるとか?「なぜユダヤ人はビジネスが上手いのか?」も一緒にどうぞ。
ユダヤ教に人気の寿司
<イスラエルの寿司レストランGreen Rollより>
イスラエルでは1990年代から寿司レストランが広がり始め、今では300軒以上の日本食・寿司レストランがあると言われています。
多くのお寿司屋さんはカシェル(コーシャ)食品を提供しています。
先ほど言ったように、海魚・川魚はカシェル食品なので食してよいですが、それ以外の海産物、例えばタコやイカ、貝などは食べてはいけないので販売していないところも多いです。
寿司はヘルシーな食べ物としてのイメージが定着し、若い人から年配にまで人気があります。
上の写真は「事実上の首都・テルアビブ」にあるお寿司屋さんなのですが、海外にあるそのほかの日本食レストランとほぼ変わりのないメニューですね。
どちらにしても海外でタコやイカを食べるところは少ないので、「カシェル」もしくは「非カシェル」の寿司でもあまり影響ないかもしれないですね。
最後に
イスラエルではその他の国と同じように、ベジタリアンやヴィーガンが増えているようですね。
ヴィーガンとなるとカシェルかどうかなんて気にしなくていいので、どこの国に行っても食べていけますが、厳格なユダヤ人は旅行するのも難しいでしょうね。
東南アジアとかだと、間違ってカシェル食品以外を食べてしまいそうですよね。