イスラエルの失われた十支族を発見することは、イスラエル人にとっての宿命ともいえる事です。
アミシャブというイスラエルの調査機関は、失われた十支族を探し出す任務を請け負って活動しています。
ところで、失われた十支族とは?
また、彼らはどこに行ったのでしょうか?
失われた十支族
イスラエルの失われた十支族とは、旧約聖書に記されたイスラエル12部族のうち、行方が分からなくなったこれらの10部族を指します。
- ルベン族
- シメオン族
- ダン族
- ナフタリ族
- ガド族
- アシェル族
- イッサカル族
- ゼブルン族
- マナセ族
- エフライ族
彼らがどうして行方が分からなくなったかは、少し歴史をたどる必要があります。
紀元前10世紀中ごろ、イスラエルを統治していたソロモン王が民衆に苦役を強い初め、その息子であるレハブアムが王位に着いた時に、民衆は苦役の軽減を求めたが受け入れられなかったため、北部の部族は離反し北王国を建設しました。
これによりイスラエルは北王国と南王国(ユダ王国)に別れたのですが、紀元前722年にアッシリアによって北王国は滅ぼされ、10部族の指導者たちは捕虜としてアッシリアに連行されました。(アッシリアは今のイラン北部地域)
この捕虜として連行されたユダヤ人たちの行方が分からないために、南王国の2部族によって失われた10支族と呼ばれ始めました。
北王国に残った人々は、近隣の地元民に同化して行ったと考えられています。
(個人的には、連行された人もアッシリアで地元民に同化して、ユダヤ人というアイデンティティーを失ったのじゃないかと思いますが・・・、)これが世界最大級のミステリーになっているのです。
行き先の候補
10支族の行き先は諸説ありますが、主なものを下記にご紹介します。
- アフガニスタン
- エチオピア
- 中国
- 日本
上記4つが、イスラエル政府も有望だとしている説です。
アフガニスタン
10支族は、今のイラン地域を経由して東方に逃れたという説があります。
アフガニスタンのイラン系民族パシュトゥーン人はアフガニスタンの人口11%を占め、ヨセフ族(エフライム族とマナセ族)の末裔という伝承を持つ部族がいます。
パシュトゥーン人は、大統領や、多くの政治家を輩出しており、ビジネス界にも進出しているようです。そう、ユダヤ人の様に。
エチオピア
エチオピアには「ベタ・イスラエル」と呼ばれるユダヤ教を信仰する人々がいます。彼らは10支族の一部がアフリカに移住した時の末裔だと言われています。
キリスト教が多数を占めるエチオピアでは、彼らは異教徒と迫害されいたので、彼らを救うためにイスラエル政府は、80~90年代にかけて約2万2000人のベタ・イスラエルを、イスラエルに移住させました。
今現在、イスラエルには約13万5000人のエチオピア系ユダヤ人が暮らしています。
中国
中国の開封には、遅くとも10~12世紀にはユダヤ人コミュニティーが成立しており19世紀末まで存続していました。
開封のユダヤ人の先祖は、中央アジアからやってきたと推測されており、1163年にはウスタドというユダヤ人が宗教指導者に任じられ、シナゴークや儀式用の浴槽などのユダヤ人の施設を建設したとされています。
また、開封では石碑が発見されており、その中の碑文には、「漢王朝時代(紀元前2世紀~2世紀)にユダヤ人がインドからやってきた」と記されています。
今現在も開封には1000人弱の子孫が残っており、イスラエルに移住した人もいるそうです。
日本
社会の授業で「秦氏」という名前を聞いた事があるかと思いますが、大陸からやってきたこの「秦氏」が、10支族の子孫でないかと言われています。
秦氏(はたし)は氏族の名前なので、1人を指しているわけでなく、今でいう「秦」という名字をもった一族です。
伏見稲荷神社や広隆寺などの創建に関わり、秦河勝は聖徳太子に仕え平安京の遷都や造成にも関わっていた人です。
ちなみに平安京を古代イスラエル語にすると「エルサレム」となります。
また、秦氏の本拠地であった八坂神社の祇園信仰も「祇園・ギオン」はZion・シオン(イスラム教の聖地<神殿の丘>の別名)が語源だと考えられています。
また、その当時誰も知らなかった測量技術や裁縫など多岐にわたり博学だったことも、秦氏はユダヤ人だったと言われている一因であります。
また、日本の伝統行事や国宝もユダヤ人の影響を受けているものが多いので、あながち間違いじゃないかもしれないですね。
こちら、「日ユ同祖論とは?実はイスラエル人も知っている話」で、日本人の祖先とユダヤ人の祖先が同じだった!?という話をしているので、一緒にどうぞ。
最後に
最初にも言ったように、イスラエルの機関「アミシャブ」が世界に散らばったユダヤ人を探し出そうとしています。
実際に見つかり、ミャンマーやエチオピアなどの国からイスラエルに帰還する人たちもいるくらいなので、外見からは判断できない基準がありますね。(アミシャブのユダヤ人の定義は「日ユ同祖論とは?実はイスラエル人も知っている話」で解説しています)
ただ、個人的には地元民に同化して「自分がユダヤ人だ」というアイデンティティーを持った人は少ないかと思います。
また、そこまでして探し出しても確証が得られないため、「10支族の子孫」とは言い切れないことが多いと思いますね。
ただ、日本にはユダヤの五芒星が神社や、天皇家でも見れるので、もしかしたら、という可能性はありますね。ただ、移住したいと思う人は少ないでしょうが。